「あの夜の蛍さんは情熱的で、忘れられないよ」

「高峰さん、余計なこと言わないでください」

「これは失礼。お父様、改めて確認ですが娘さんを僕の元に嫁がせていいんですか?」

「もちろん。こちらこそ、蛍でいいのかい?」

「はい。僕は蛍さん以外考えられません」

「ちょっと待ってよ! 結婚しないからね!?」

「でも、僕にプロポーズしたのは蛍さんだよ?」

「だから記憶にないってば!」

黙って聞いてれば、結婚する方向で話進んでるし、話に割り込まずにはいられない。

プロポーズなんかした覚えないし、どうせなら相手からプロポーズされたい派です!

「とにかく、婚約破棄を希望します!!」

「無理。蛍さんは今日から僕の奥さんだよ」

「絶対嫌です。断固拒否します」

「私も蛍からプロポーズしたって聞いてたから、もう荷物高峰さんの家に送っちゃった」

「お父さん何してんの!?」

「ごめんごめん。だから、家に帰っても蛍の荷物はないよ」

笑顔でそんなこと言わないでください。

今日から私はどこに帰ればいいんですか?

流石にこの時期に野宿はきついと思うんですよ。

「蛍さん、大人しく僕と一緒に帰ってくれるよね?」

「実家に帰りたいんですけど⋯」

「ダメだよ。高峰さんのところに行きなさい」

「大丈夫、いきなり手を出したりしないから安心して」

とにかく、何を言われようと私は、婚約破棄を希望します!!