「はぁ、やっちゃった⋯流石にお店飛び出すのはダメだったよね⋯」

今更後悔しても遅いのは知ってるけど、後悔せずにいられない。

お店飛び出しちゃったし、絶対智明に迷惑掛けたよね。

「とりあえず家に帰ろ⋯そして、実家に帰ろ⋯」

今は智明に合わせる顔がないし、さっさと退散してしまうに限る。

小走りで家に帰り荷物をまとめた私は、置き手紙を残して実家に帰った。

「あら蛍、どうしたの?」

「ただいま、お母さん。後からゆっくり話すから、ちょっと1人にして。そして、智明から何か連絡があっても私はいないって言って」

「分かったわ。部屋はそのままにしてるから、ゆっくり休みなさい」

「うん、ありがとう」

以前自分が使っていた部屋に行き、ベッドに横たわってあれこれ考える。

中村さんめっちゃ美人だったし、そりゃあ抱くよね。

実は付き合ってたって言われても何も不思議じゃないし、なんなら私が浮気相手なのかな?

でも、浮気相手と入籍なんかしないよね。

考えれば考えるほど混乱してきて、私は考えるのをやめた。

「はぁ、少し寝よ⋯」

そう呟いて目を閉じると、不思議とすぐ眠りについたみたいで。

お母さんの、智明くん迎えに来たわよって声で起こされた。