智明がスーパーに入ると、おば様方が目を輝かせてイケメンねぇ、と言っていた。

たしかにイケメンだけど、その人ドSですよなんて口が裂けても言えない。

「蛍、カゴ持つ」

「いいよ、私が持つ」

「こういうのは男に任せとけば」

イケメン発言と共に私の手からカゴが奪われ、クリームシチューに必要な材料を入れていく。

一応料理には自信あるし、美味しいご飯食べさせてあげたいな。

そもそも、智明の口に合うかどうかだけどね。

買い物を終えて家に帰るなり、智明は私に抱きついてきた。

「動きにくいんだけど?」

「うるせぇ。ペンギンみたく歩いてろ」

「はい、悪口ですよね、それ。離れてくださーい」

「敬語使ったからお仕置だな」

「ちょっ、えっ⋯!?」

咄嗟に振り返ると、そのまま智明に唇を奪われた。

私としては別に敬語使ったつもりなかったんだけどな。

「ねぇ、くすぐったいよ」

「やめてほしい?」

「やめてって言ってもやめないくせに」

「よく分かってるじゃん」

だって、下手に抵抗したら色々面倒くさそうだし。

「蛍、このままベッド行こ」

「いや、行かないよ?」

「なんで? いいじゃん、行こうよ」

「行かないってば」

まだ外明るいし、こんな時間からスるなんて恥ずかしいじゃん。