家に帰り夕ご飯の支度をしながら、私はふと智明と出会った頃のことを思い出していた。

私は未だに記憶がないのだが、私から智明にプロポーズしたらしく。

てか、いくら酔ってたとはいえ私もなかなか大胆なことしたなと、今でも恥ずかしく思う。

それから智明が家に来て、結婚の挨拶をされてあれよあれよという間に結婚していて。

あの時は婚約破棄だ!なんて騒いでいたのに、今じゃすっかり智明の奥さんで明将の母親をやっていて。

20歳をすぎてから時の流れは異常なほど早く流れていたが、本当に目まぐるしく過ぎていった。

「ままぁ…」

「おはよう、明将。おトイレは?」

「へいき…ねむい…」

「もうすぐ夕飯できるから、そろそろ起きよ。夜寝れなくなっちゃうから」

「うん…すぅ…すぅ…」

公園でいっぱい遊んで疲れたのか、明将はすぐにまた眠ってしまった。

あの頃はこんなに可愛い息子が出来るなんて、思いもしなかった。

婚約破棄を希望してたくらいだし、こうやって智明と結婚して普通に生活してるなんて信じられない。

そろそろ仕事復帰したいななんて思ったりするけど、それは多分智明が反対するだろうなぁ。

出産前に言われていた、智明の秘書になるって話しがまだ有効だったらちょっと相談してみよう。