「智明! 明将いたって本当!?」

「あぁ、今は泣き疲れて眠ってしまった。警察とそれぞれの両親には電話してある」

「あぁ…良かった…明将…」

智明の腕に抱かれて眠る明将の姿を見て、私は涙が止まらなくなった。

殺されているかもしれないと思っていたから、本当にホッとした。

「手首に縛った跡がくっきりだから、念の為蛍は明将を連れて病院に行ってくれ。母さんに付き添うように話しておいたから」

「でも、智明は…」

「俺は、父さんや光明と一緒に中村本人を探し出し、警察に連れていくよ。そして、なぜ誘拐したのかきちんと理由を聞いてくる」

「分かった。私のお父さんも連れて行って。力になれるかは分からないけど…絶対、損はしないはずだから」

「あぁ、そうさせてもらうよ。お義母さんも病院の方に付き添ってもらおう。何があるか分からないし、二手に分かれて行動した方がいい」

「そうね。お母さんに電話して、直接病院に来てくれるよう話しておくね」

男性陣は警察の方へ、女性陣は病院へ向かうことになった。

中村さんは未だに見つかっておらず、なぜ明将をあそこに縛り付けておいたのか何も分かっていない。

智明たちに一刻も早く見つけ出してもらい、全てを説明してもらわなければ気が済まない。