光明 side

昨日、蛍が産気づいてまもなく産まれるということで、病院に召喚された俺。

自分の妻が出産するわけではないのに(妻いないけど)、全ての仕事を放り投げて病院に直行した。

「赤ちゃんは?」

「あと少しで生まれるそうよ。蛍さん、頑張ってるみたい」

分娩室の前で母さんたちと合流し、赤ちゃんが生まれてくるのをただひたすら待つ。

中から聞こえてくる蛍のうめき声に時折胸が痛くなり、爪が食い込むほど手のひらを握りしめた。

正直に白状すると、俺は蛍のことが好きだ。

だから、蛍が妊娠したと聞いた時は正直意識を失いそうなほどショックで。

なんで兄さんなんだ、なんで俺じゃないんだと毎日毎日考えていた。

「光明、聞いてる?」

「え、あぁ、何? どうかした?」

「赤ちゃん、生まれたそうよ! 私たちも明日には会えるって!」

「そっか、無事生まれて良かった。あとで蛍を労わないとね」

「そうね、たくさん労わなきゃ! 光明も早くいい人見つかるといいわね〜」

母さん、申し訳ないけど俺の好きな人は蛍なんだ。

彼女以外の女性と付き合って結婚するなんて考えられないし、万が一にも兄さんと離婚した暁には俺が奪ってやりたいと思っているんだ。