智明 side

「んー…智明…?」

あれからまたしばらく仕事を片付けていると、後ろで寝起きであろう蛍の声が聞こえた。

「蛍、起きた?」

「ごめんね、寝ちゃってた。今何時?」

「今18:30だよ。何か食べれそうなら軽く夕食作るけど、食べれそう?」

「うん、智明が作るおうどん食べたい」

「うどんでいいのか? それなら30分くらいでできると思うから、もう少し横になってていいぞ」

「流石にもう起きるよ」

そう言って、布団からのそのそと出てくる蛍。

うどんを作るまでの間ソファに座っててもらって、手早く作る。

蛍と出会うまで料理はからっきしだったけど、最近は簡単な料理をするようになった。

といっても、レパートリーはうどんとゆで卵と味噌汁くらい。

春には子供も生まれるし、もう少しレパートリー増やしたい気もする。

ていうか、絶対増やす。

「お待たせ。熱いうちに食べな」

「ありがとう。智明は相変わらず大盛りだね」

「仕事したら腹減った。無理しないで残していいからね」

「私もお腹減った。いただきます」

「いただきます」

静かなリビングに、2人がうどんをすする音だけが響く。

来年の春には子供が生まれて、3人で食卓を囲むのだろう。

それまで、もう少し蛍との2人の時間を沢山過ごすと心に誓った。