智明 side

「蛍、お待たせ…ってあれ、寝ちゃってる」

紅茶とマカロンを持って寝室に戻ると、蛍が眠ってしまっていた。

今日はずっと移動で疲れただろうし、もう少し寝かせてあげようとデスクに向かう。

最近はずっと仕事が立て込んでて、蛍と過ごすためにまともな時間を確保できていない。

蛍が寝ているうちに仕事を片付けて、起きたら沢山色んなことを話そう。

「これは光明に振って…こっちも光明に頼めそうだし、頼むか」

大量にある仕事をサクサク片付け、光明に振れるところは振る。

俺一人で全ての仕事を片付けようとしたら、とてもじゃないが蛍との時間は作れない。

ふと時計を見ると、時計の針は18:00を指していた。

いつもなら夕食の時間だが、蛍は未だぐっすり眠っている。

今日の報告会は、俺の人生の中でも指折りで数えられるくらい緊張した出来事に入る。

どんな商談でも大抵のことは乗り越えてきたが、やはり妊娠報告となると緊張のレベルが段違いだ。

お腹に子供を宿しているのは蛍だし、俺にできることといえば傍で支えることくらいで。

それがすごくもどかしくて、他に何かできることはないかと落ち着かない。

男にももっとできることがあればいいのにな。