婚約破棄を希望していたのに、彼を愛してしまいました。

「久しぶりなだなぁ、智明くん!」

「はい、お久しぶりです。お義父さんもお義母さんも、お元気そうで何よりです」

「私たちは元気だけが取り柄だもの!」

「だなぁ〜。蛍、そんなにガチガチに緊張して、どうしたんだ?」

「別に、緊張なんかしてないよ。今日は、報告があって来たの」

これ以上黙っていたらボロが出そうだったから、そう切り出して智明の方をちらりと見る。

よし、さっさと報告してしまおう。

「この度、蛍さんとの間に子供を授かりました」

「それは本当なのか!?」

「はい。安定期に入るまではと報告を控えておりましたが、先日安定期に入ったので、ご報告させて頂きました」

智明がそう言うと、お父さんはこれでもかというくらい喜んだ。

飛び跳ねるんじゃないかくらいの勢いで喜ぶお父さんに、残りの3人は圧倒されて。

4人分の喜びをお父さんが全部表現しているかのような、喜びようだった。

「予定日は来年の春頃です」

「そうかそうか! 早く会いたいな〜、名前はどうする?」

「ちょっとお父さん、気が早いわよ。ごめんなさいね、智明くん」

「いえ、実は僕も名前をどうしようかとそわそわしていたもので…」

「あら、そうなの!」

男性陣の気の早さに、私たちは苦笑するばかりで。

何はともあれ、無事に報告会が終わって良かったな。