星の世界の君

「まゆ~!」

遠くの方から確かに聞こえた声。

どんどんと遠くから近くへのピントが合ってくる。

長い黒髪、変わらない声、スタイル、
そしてあの時と同じ真っすぐな瞳。

相田 奈々子(あいだ ななこ)

そう“あの子”だ。

俺を俺じゃなくした人だ。

「あ~!明人!元気だった?って……月?」

「ごめん。俺やっぱり帰るわ。」

できるだけ目を合わせないように、
うつむきとにかく歩いた。

明人のすらも届かなかった。