明日には居ない君の物語

「変わりたい、なんて言わないでくださいよ。それこそ涼香が怒りに来ます」

「そう、よね…。ごめんなさいね、暗くしちゃって」

涼香の母さんだって、無理してる。

無理してるときの顔、仕草、全部が涼香と似ていて重なる…いや、重ねてしまう。

「あ、これ涼香が好きなプリン買ってきたんで、食べてください。じゃあ、このあと行かなきゃならないところあるんで、帰ります」

「ありがとう、またいつでも遊びに来てね。それから、絶対に無理しないこと!!」

「はーい」

そう言って家を出る。

街を歩けば涼香が好きだったものに無意識に視線が行くし、似合うものを見つければプレゼントしたくなる。

もう会うことは出来ないのに______。

忘れることも気にしないことも、ましてや他の人を好きになることも絶対にできない。

それくらい好きだった、大好きだった、愛してた。

でも、今のままじゃ涼香は喜ばない。

だから、最後に一言だけ

「愛してる」

を伝えたい。