それでも…

「…なんで簡単にそんなこと言えんだよ。俺だってしばらく涼香が目を覚さないことなんてわかってる。だからといって、俺はこの場を離れない。涼香は俺の全てだ。俺以外、誰が涼香の側に居てやることが出来んだよ。俺しかいねぇだろ」

親父は俺の言葉を聞いて黙る。

「好きにしなさい。ただ、留年だけはするなよ」

その言葉はもう涼香が目覚めることはないと言っているようにも聞こえた。

「あぁ」

俺がそう言うと親父は病室を出て行った。

「頼むから目覚ましてくれよ…涼香っ!」

涼香はそんな俺の声に反応もしてくれない。

今にも起き出しそうなまま眠り続ける涼香…。

その姿はまるで眠り姫のよう。

「いっそ、眠り姫だったらいいのにな……」

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