番外編 (クリスマスイブ)


二学期終業式の前日……私は中庭で、なぜか琴莉ちゃんと狼くんに取り合いをされていた。


「桜妃は!私と過ごすんです!」


「いや、俺だ。」


どうやら話題は、クリスマスのことらしい。


最近になって、狼くんへの恐怖心がなくなった琴莉ちゃんは今、堂々と狼くんに立ち向かっている。


「桜妃は親友と過ごしたいよね!」


「う、うん!それはもう!」


琴莉ちゃんとクリスマスなんて、楽しすぎるに決まってる。


「桜妃、俺とは?」


「もちろんっ!過ごしたいですよ?」


寂しそうな顔で首を傾げる狼くんに対して思いっきり頷くと、今度は琴莉ちゃんが私の袖に抱きついた。


「ねー桜妃……だってさ!?ハロウィンも文化祭も下校も全部鳳条先輩に取られてるんだよ!?」