あぁ、私がまた不安になってると感じとってくれたのかな。


狼くんのそういうところ、大好きだ。


私だけ………私だけ………その言葉を何度も何度も頭の中で復唱する。


「他の男に渡したくない。」


「桜妃がこんなに可愛いの、他のやつに気づかれたくない。」


私の肩に顔を埋めて、もごもごと話していく狼くん。


そんな狼くんの話を聞いていて、私はハッと気づく。


「そういう…こと、?」


琴莉ちゃんが、メイド服を着る件、謝っておいてって言ってたのは……


「狼、くんっ!ごめんなさい!」


「は、?」


「私っ、文化祭でメイド服着なきゃいけなくて…」


そう伝えると、狼くんはどんどん怪訝な顔になっていく。


「ダメだ」


「でも…着たい……です。」


「どうしても着るって言うなら、当日、俺がそばにいる。」


私がしたいって言えば、結局やらせてくれる狼くん。


でも、ちょっぴり悔しそう。






私の大好きな、最強彼氏さんは……私の前だけ可愛くなる。




───当日、私のメイド姿を見た狼くんが拗ねて、しばらく離して貰えなかったのは私と狼くんだけの秘密───