桜妃は…他の女のように俺の容姿を見て、色目を使ってくるようなこともしなかった。


初めて見た時の、あの純粋な透き通った瞳。
あんなの初めて見たんだ。


それに俺の大企業の社長の息子、という金や地位目当てじゃない。


俺が自分から言う前も言ったあとも、何もなかったかのように同じように接してくれた。


それどころか、俺が寂しくなかったのか心配して、甘えていいと言ってくれた。



桜妃は、『俺』を見てくれた人。
自分の私利私欲よりも、俺の心を優先してくれる。


ただ、少し心配だ。謙虚すぎて、1歩引いてしまうところがある。


優しさで形成されているようなものだから、この状況を気に入らない、他の女に目をつけられそうで危険だ。


まぁ、今は鳳凰のやつに見守らせているから大丈夫だが……。



そんなことを考えていると、後ろから桜妃の声がした──