3 (鳳条先輩のお気に入り)

HRが終わって、カバンを手に取って立ち上がると、風の速さで琴莉ちゃんがかけてきて、気づけば私は3年生の廊下に連れてかれていた。


「はぁ、はぁ……」


膝を抱えて乱れた呼吸を整える私とは裏腹に、琴莉ちゃんは何もダメージを負っていない様子で、それどころかぴょんぴょんとはねている。


私たちは凄い速さで来たはずなのに、3年生の廊下は既に1年生で溢れかえっていた。


「あー、狼はいないよ〜。いつもサボってるから。」


教室から出てきたレンくんの困ったように笑う声が聞こえた。


居ないんだ……良かった…。


昼休みの事が蘇ってきて、正直、鳳条さんの顔を見たくなかった私が胸を撫で下ろしたのもつかの間、レンくんが耳を疑う言葉を口にした。