恋した先輩には病みがある!?

こんな先輩は見たことがありません。

先輩は口で弧を描くと恋桃の手をそっと握りました。

え、え?て、手!?!?!

いきなり繋がれたので手汗がついているかもしれません。

どうしましょう。

気持ち悪いってすぐに手を離されでもしたら、しばらく立ち直れません。


「ということだからえーっと・・・奥田君?桃ちゃんは俺と帰るからじゃあね。ほら、帰ろう桃ちゃん」
「はい。奥田君、また明日です!」


先輩は恋桃と手を掴んだまま歩き出しました。

急いで奥田君に別れの挨拶をしましたが、届いたでしょうか。

苦虫を嚙み潰したような顔をしていました。

そんなことより今は先輩です。

前回とは違い、歩くスピードが速いです。まるで何かを振り切ろうとしているよう。

表情だってずっと硬いままです。


「先輩?」
「あっごめん歩くの速かったよね。ほんと、ごめん・・・」


なんでそんなに泣きそうな顔をするのでしょう。