「ふざけてんのか」



いつもの倍以上低くて、怒りを隠していない声。


これは、本気で怒っている。

顔なんて見なくてもわかる。


ユイくんを見ることなんてできるわけがなく、視線を泳がせた。


ナビの光が眩しくて目を細めると、視界に入った時間はすでに夜の十一時を回っていた。

もうこんなに時間が経っていたんだ。

だけど時間なんてどうでもいい。


初めてユイくんを本気で怒らせてしまった。

そのことが自分の中で深く突き刺さる。


けど、これに関しては全面的にわたしが悪い。

今日は特に嫌なことがあった。

だんだんとエスカレートしていく嫌がらせ。


きっと、限界は超えていた。

ユイくんと再会した時に爆発してしまったんだ。

もうすでにあの時から限界で、でもユイくんに会えたからギリギリの状態で保っていた。


いつおかしくなっても不思議じゃない状況。

だから無意識だった。



『死んだらどうなるのかな。楽になれるのかな。それとも嫌な思いのまま死んだら、嫌な気持ちのままなのかな』