「……勝手に綺麗になるわけないじゃん」



悔し紛れに吐き出した言い返しのセリフは、宙に浮いて誰にも届かず消える。

放課後、一人で掃除。

わたし以外の掃除当番はいまごろカラオケやら部活やらに行っているんだろうな。
どうでもいいけど。


最近はそんなことにも慣れてきた。

こんなところで自分の適応力の高さに気づく。

皮肉にもそれは、対人関係に活かされることはなかったけど。


今週は選択授業で使う屋根付きの渡り廊下の掃除が当てられている。

わたしが一人で掃除をしていたとしても、見ている人はいない。

サボるにはうってつけの掃除場所。


だからといってわたしがサボらずに掃除をしているのはきっと、自分はあんな人たちとは違うと思いたいから。


真面目にしていればきっと……なんて、そんな夢かフィクションのようなことがあるわけないのはわかっている。