「まぁ気楽にいこうよ」
「気楽だよ!」
「うん、気楽に」
まるで三人の合言葉みたい。
気楽にさ。
気楽にね。
この二人はユイくんといる時と似たような気持ちになる。
心の扉を開けられてしまうような、そんな気持ち。
でも嫌な気は全くしない。
ノックが的確で心を自然に開いてしまう。
「あ、おはよう」
わたしの前を後藤さんが通り挨拶をする。
だけど、当然のように無視して素通りする。
聞こえていないのかわざとなのかはわからない。
後藤さんにはわたしが見えていないのかもしれない。
それでも気にはしないし、返してアピールもしない。
驚いたようにわたしを見る二人をわたしも見る。
「変に意識するのやめることにした」
「と、いうと?」
「みんなと普通にする」
「後藤も?」
「うん」
「大野の親衛隊も?」
「うん。まだ怖いけどね。意識しないことにする」
これ以上不自由になりたくはない。
もっと自由でいたい。