五回目の人生で、シャルロットは刺繍で生計を立てていた。刺繍の腕には自信がある。

「よかったら、ケイシーに一枚あげるわ」

 シャルロットはこれまでに作った刺繍入りハンカチの一枚をケイシーに差し出す。ピンク色の花があしらわれたものだ。

「え、いいのですか?」

 ケイシーはびっくりして目を丸くする。

「もちろん。ケイシーにはいつもお世話になっているから」

 シャルロットはにこりと微笑む。こんなことで喜んでもらえるなら、何枚でもあげたいくらいだ。

(残りはそろそろ売りに行こうかしら)

 シャルロットはだいぶ数が溜まった刺繍入りハンカチを眺めて考える。

 エディロンから、条件が整えば婚約を破棄しても構わないという言質を取ったシャルロットの行動は早かった。ルルとハールに頼んで色々と情報を集めながら、婚約解消後の生活も見据えて計画を練り始めたのだ。