一方のエディロンは困惑していた。

 まず、セザールから王女が到着したと報告されたときから違和感は始まっていた。

『陛下が仰っていたような高飛車な感じじゃなかったですよ。きちんと私に対しても礼をもって接していたし、出迎えた城の者達にも会釈して手を振っていました』

 エディロンはそれを聞いて、意外に思った。あの王女ならダナース国の者になど絶対に頭を下げることなどないと思っていたから。

 来たばかりで、猫でも被っているに違いないと判断したエディロンは、早めにエリス国の王女に会うことにした。
 いろいろと釘を刺しておく必要があると思ったからだ。

 離宮の最奥の部屋の前に辿り着くと、エディロンは扉をノックする。

『ど、どうぞっ!』

 鈴を転がすような可愛らしい声だった。
 扉を開けると、そこにはひとりの可憐な女性がいた。