シャルロットももう十九歳。ちょうど結婚適齢期を迎えている。いつ政略結婚の話が出てもおかしくないとは覚悟していたが、いざ話が決まったと聞くとやはりドキリとした。

『お相手の方を伺っても?』
『ダナース国の国王、エディロン=デュカスだ』
『ダナース国のエディロン=デュカス陛下……』

 その名前を聞いた瞬間、シャルロットは大きく目を見開いた。脳裏に甦ったのは、数カ月ほど前の出来事だ。