ループ5回目。今度こそ死にたくないので婚約破棄を持ちかけたはずが、前世で私を殺した陛下が溺愛してくるのですが

「部屋がみずほらしいと怒っていなかったか?」

 王女用に用意した部屋は清潔にしたし、必要な品々はきちんと用意した。けれど、いわゆる豪華な調度品は置いておらず一見すると質素に感じるだろう。『必要以上の贅沢を許す気はない』という意思表示のためにしたことだが、蝶よ花よと育てられた王女であれば侮辱されたと怒っても不思議はない。

「いや、そういう反応はありませんでしたね。むしろ、部屋を見て喜んでいたような……」
「喜んでいた?」

 エディロンは怪訝に思って聞き返す。

(どうなっているんだ?)

 エリス国の王女と必要以上に関わる気はないが、こうも予想していた反応と違っていると、気味が悪い。

(一度、会いに行くか)

 セザールから一通り王女の様子を聞いたエディロンは、気は進まないがその王女の様子を見に行くことにした。