そうしてとうとう六回目の人生、即ち今世に突入した。

 過去五回の人生を振り返り、シャルロットはとある法則に気付いた。それは〝結婚するとその日に死ぬ〟ということだ。
 そう気付いたシャルロットは、一生結婚せずに修道女になろうと決心した。

 最低限参加を求められていた夜会や舞踏会も、今世ではなにかと理由を付けて一切参加しなかった。さらに、誰かに思いを寄せられて突然言い寄られることを警戒し、人前に出るときは常時俯いて顔を隠した。陰気な姫だと噂されているようだが、男性から敬遠されることは好都合だ。

「今度こそ上手く行くわ」
「だといいけど。いい加減、そろそろ抜け出したいところだよね。今回の人生、僕は今のところいい感じな気がする。後は、適当なところで外出してそのまま行方不明にでもなるよ」