ループ5回目。今度こそ死にたくないので婚約破棄を持ちかけたはずが、前世で私を殺した陛下が溺愛してくるのですが

 今まで一度も聞いたことがないような低く冷たい声だったが、それは間違いなくエディロンのものだった。愛した人の声を、聞き間違えるはずがない。

(エリス国のドブネズミ? わたくしのこと?)

 自分はずっと、彼から〝ドブネズミ〟と思われていたのだろうか?
 彼もまた、自分のことを蔑んでいたのだろうか?

(わたくしを愛してくれると信じていたのに、嘘だったの?)

 体が崩れ落ち、弾みで隠れていたドレープカーテンが引き裂かれる。

(あなたとなら、幸せになれると思っていたのに)

 シャルロットは床に横たわったまま、力なく目の前の男──今日結婚したばかりのエディロンを見上げる。

「どう……し、て……?」