そして、それこそが彼らの狙いだった。

 結婚式を終らせたあとにエディロンを暗殺してしまえば、シャルロットが次に結婚した相手がダナース国王となる。
 ハールス卿はエディロンの平民を重用する政策に大きな不満を持っており、エリス国の王妃様であるオハンナはそれを利用しようとした。
 エディロンを殺す手助けをして彼を次の国王にする見返りに、ダナース国の領地の一部をエリス国へ。そうすれば、エリス国の領地をより広大にできるから。

(だから毎回、他国に嫁ぐ度に手のひらを返したように手紙を送ってくるようになったのね)

 思い返せば、シャルロットが嫁いだ国々はどこも同じような王位継承の制度になっていた。

 その腹黒さを垣間見て、恐ろしさのあまりに身震いする。
 まさか自分の義母がこんな恐ろしいことを企んでいたなんて。

「さすがに今回の件は看過できない。正式に抗議しに行く」

 エディロンはきっぱりとそう言う。シャルロットははっとして顔を上げた。