「やっぱり、エディロン様には婚約を破棄していただかないと」

 シャルロットはぎゅっと手を握る。

 生き残るためには、婚約を破棄するしかない。もしも納得してもらえなかったら、ひっそりとこの王宮を去ろう。
 シャルロットは胸の内で、そう決心する。

(約束に日まで、あと少し……)

 シャルロットがダナース国の王宮を去れば、しばらくののちにエディロンは新たな王妃候補を迎えるのだろう。そして、シャルロットは生涯独身を貫き、どこか片田舎で穏やかな人生を送る。

 それはシャルロットがずっと望んでいたことのはずなのに──。

(どうしてこんなに、胸が痛むの?)

 脳裏に浮かぶのは、今日の昼間に『お前の抱えている秘密ごと、俺が愛してやる』といったエディロンの顔だ。