なんとなく嬉しく感じてしまい、シャルロットは慌ててその考えを打ち消す。必要なければ寄せ付けないだけで、必要があれば甘い態度をとるのは当然だ。だって、エディロンは国王であり、国益を優先させる必要があるから。

「そういえば、シャルロット様。陛下への誕生日プレゼントは決めましたか?」

 和やかに進むお茶会の最中、今度はダムール侯爵夫人が口を開く。

「え?」
「来月だから、我が家でも何にしようかと頭を悩ませているところです。ほら、陛下はあまり贅沢品をお好みにならないでしょう? でも、かといって貧相なものもいかがなものかと思いまして」
「そ、そうね」

 答えながら、シャルロットは必死に自分の中の記憶を呼び起こしていた。

(誕生日? そうよ、エディロン様の誕生日だわ!)

 確かに一度目の人生でも、婚約期間中にエディロンの誕生日をお祝いした記憶がある。何がほしいかと聞いたら『シャルロットをゆっくり愛でたい』などと歯の浮きそうな甘い台詞を返されて、結局ふたりでデートした。