きっと周囲に関係が良好であるとアピールするための演技なのだろうが、周囲に人がいようといなかろうとこの調子なので、シャルロットは振り回されっぱなしだ。
「図書館ではなんの本を?」
「ラフィエ国に関する文献です。その……陛下が最近よく話題になさるから勉強しなおそうかと思って」
説明しながら、尻すぼみに声が小さくなる。
これではまるで、シャルロットがエディロンのために勉強しているようではないか。
「そうか。ありがとう。今夜も楽しみにしておく」
「ひゃっ!」
体を屈めて、耳元に顔を寄せて吹き込むように囁かれた。
「へ、陛下っ!」
突然のことに驚いたシャルロットが顔を真っ赤にしてエディロンを睨み付けると、エディロンがくくっと肩を揺らした。どうやら、揶揄われていたようだ。