ラフィエ国には三度目の人生で嫁いだ。そのため、かなりの知識は備えているつもりだが、なにぶん三つも前の人生なので復習がてらもう一度勉強し直そうと思ったのだ。

「あとは、この前借りた小説の続きを──」

 シャルロットは左手に本を抱え、小説コーナーへと向かう。
 たくさん並ぶ本棚の端から順番に背表紙を眺め、目的の本を探すことにした。

「あら、貸し出し中だわ。残念」

 シャルロットが探していたのは【妖精姫とサイフォードの騎士】というシリーズで、今ダナース国の若い女性に大人気の小説だった。