その二十分後。シャルロットは王宮内の図書館にいた。

 ダナース国の王宮はレスカンテ国時代の設備をそのまま使用しているため、とても広大だ。敷地内にはいくつもの豪華な建物が建っており、図書館はそのうちの一棟を利用して作られたものだ。
 数万冊にも及ぶ蔵書を揃えており、王族貴族はもちろんのこと、一定の手続きをすれば一般市民も利用することができる。エリス国にいたときよりも遥かに多くの本に触れることができ、シャルロットのお気に入りの場所のひとつだった。

「うーんと、これにしようかしら……」

 多くの蔵書の中からシャルロットは一冊を手に取る。選んだのは、最近エディロンからよく名前を聞くラフィエ国について書かれた本だった。