「…………」

 それはね、仲睦まじくみせるための演技なのよ!とは言い出すことができず、シャルロットは熱くなる顔を手で仰いでその場をやり過ごす。

 それに、ケイシーがエディロンがシャルロットを寵愛していると思い込んでしまうのにはもうひとつ大きな理由があった。

 それは──。

「シャルロット様、陛下がお越しになりました」
「お通しして」

 シャルロットはケイリーに指示すると、自身もエディロンを出迎えるために立ち上がる。
 廊下にいるエディロンは少し開いたドア越しにシャルロットと視線が絡むと、柔らかく目を細める。

「……っつ!」

 そんな風に微笑まれると益々周囲を誤解させるから、やめてほしい。現に、ケイシーはその微笑みを見て薄らと頬を赤らめている。