「初めて見たな」
「召し上がってみますか? 甘くておいしいですよ」

 エディロンがスナーシャを食べたところは見たことがないが、きっと好きだろうと思った。前世でエディロンがフルーツを食べているところは見かけたことがあったから。

 答えないエディロンの様子から勝手に『食べる』と判断したシャルロットはサイドテーブルから小さなフルーツナイフを取り出す。

「おい。慣れない刃物を触ると手を切るぞ」
「大丈夫です。慣れていますから」

 エディロンは眉根を寄せたが、シャルロットはそれを無視して器用にフルーツの皮を剥く。

 エリス国の離宮では、よく王宮内の庭園に生えているフルーツの実を採ってきては自分達でカットして食べていた。だって、食事の量がいつも微妙に足りないから。