ループ5回目。今度こそ死にたくないので婚約破棄を持ちかけたはずが、前世で私を殺した陛下が溺愛してくるのですが

(あ。そう言えば──)

 パーティーと聞いて、懐かしい記憶が甦る。

 一度目の人生のときに一度だけ社交パーティーが開催されたことがあった。建国二十周年を記念するもので、諸外国の来賓も招いたかなり大規模なものだったと記憶している。

「今回も、あの社交パーティーを開くのかしら」

 シャルロットは口元に手を当てて考え込む。

(あのときって、確か──)

 ダナース国では、諸外国のように貴族が集まる華やかなイベントを頻繁に行う文化がない。ダナース国の前身であるレスカンテ国王が毎晩のように煌びやかな舞踏会を開催していたのはすでに二十年も昔のこと。
 王宮の使用人達も社交パーティーというものに慣れておらず、来賓の方々からは散々な評価だったと記憶している。