「“しゃれとんしゃー”は、博多弁でオシャレって意味。
まあ、親世代しか使わんけん、ゆらは聞きなれんかも」

「昔の博多弁ってこと?」

「昔とか言ったらいかんよ、オレの母さんに怒られるばい」



昔の博多弁、と口を滑らせたら、類は辺りを警戒して小声になる。

そんなに類のお母さんっては怖いかな。いつも優しそうに微笑んでるイメージなんだけど。



「で、これどうしたと?」

「東京にいた頃、近所にケーキ屋さんがあって。
そこのいちごのティラミスがおいしいから取り寄せてみた」

「オレのために?」

「だって、いちご好きって言ってたから」

「えー、なんなん?急に可愛いことするやん」



ビンをじっと見つめる類に説明したら、急に笑顔になって嬉しそう。

え、照れた?あのいじわるで俺様な類が?



「ゆら、ありがと。麗に盗られんように大事に食べよ」



類はビンを箱に戻して、無邪気な笑顔で私にお礼を言ってきた。

……明日、雨かな。類がすっごい素直に喜んでる。

鼻歌を歌ってルンルンで家に戻って行って、類のくせに可愛いと思ってしまった。