「ゆらちゃん?」

「……はっ、いや、あの……いろいろ調べたけど決めきれなくて」

「マリンワールド行った?」

「マリンワールド?」

「福岡市の水族館」



現実味がなくて調べられなかったとは言えない。

だって麗くんのことだもん、『あの話なかったことで』とか言われそうでちょっと怖かった。

しかし、そんな不安を打ち消すように提案をしてくれた。



「……行ったことない」

「ラッコ見たことある?」

「ない、そこにはラッコいるの?」

「うん、日本に4頭しかおらんけど、マリンワールドにはそのうちの1頭がおる」

「へー……ラッコ見たことないから見てみたい!」

「決まりやね」



ラッコ見たさに決めるなんて、単純っていわれると思ったら微笑まれた。

ぐわっ、なんて破壊力!眩しすぎて直視できない。

思わずリードをビンッと引っ張ってしまって、ラッキーは足を止めた。

そして見上げてきて、顔を赤くする私の様子を観察しながら首を傾げてきたから、ちょっと気まずかった。