「……綺麗」

「ね、綺麗やろ?」



少し離れて庭の桜を観察する。

すると、なんとイケメンから話しかけられた。

まさか話しかけてくれると思ってなくてびっくり。



「けど、掃除が大変で」

「確かに、大変そう」

「雨の日とか気をつけてね、花びらが張り付いて取れなくなるから」

「そっか、ありがとう教えてくれて」



私、ちゃんと笑えてるかな。

さっきからドキドキが止まらない。

会話に合わせるように笑ったけど、自分の心臓の音が聞こえてないか心配だった。



「名前、ゆらちゃんだっけ」



ふと、長いまつ毛の優しそうな目と視線があった。



「あ、ゆらです。今日からお世話になります」

「俺は遠藤麗、よろしくゆらちゃん」

「レイくん……うん、よろしく」



レイくんって言うんだ……イケメンの上に優しいなんて贅沢すぎる。

こんなイケメンと隣同士なんて幸せ、と思わずニヤけたその時──