「ゆら、どこ行くと?」

「関係ないでしょ」



夜の散歩に行こうと玄関から出たら、2階の窓から類の声が聞こえた。

どうせまたからかってくるつもりでしょ?

類と話したらムカつくだけだから早く行かなきゃ。



「夜は危ないけんやめとき。行くならオレも一緒に行く」



だけど、あの類が心配してくれてるみたいだから立ち止まった。

え、そんな優しい心、類にあったんだ。



「いや、いいよわざわざ」

「ラッキーの散歩がまだっちゃん、やけん一緒にいこ」

「ラッキー?」

「うちで飼ってる柴、今から来るけん待っとって」



あれ、犬飼ってたんだ。知らなかった。

全然鳴き声聞こえなかったし、散歩してるところ見たことないんだけど。