「ははっ、じゃじゃ馬」



目尻の下がった色っぽい笑顔。

げっ、本物の麗くんだ。帰ってきちゃったの?

どうしよう、面と向かって話せないんだけど。



「俺は割とゆらちゃん好きやけどね」

「好き……!?」

「ほら、そういう騙されやすいところ」


騙されやすいって……つまり好きなのは嘘ってこと?

うう、悔しい。でも、そんな綺麗な顔で好きって言われたらドキッとするに決まってるじゃん。

てか麗くん、もう猫被らないつもりなんだね。



「も、もう騙されないから!」

「はいはい、単純で可愛い」

「兄弟揃って単純って言わないでよ!」



これ以上ボロが出ないように警戒して後ずさり。

けど麗くんはバカにしてくる以外は、いつも通り優しい笑顔で接してきた。

この前見た悪魔のような麗くんじゃない。

それにしても単純、単純って……。

もう、なんなのこの兄弟!