「ゆらちゃん、おかえり」


家まであと少し。当たりをキョロキョロ見渡して誰もいないことを確認したはずなのに後ろから声をかけられた。



「れ、麗くん!?」

「あっはは、引っかかった〜!どう、似とーやろ?」

「最悪……」



慌てて振り返ったら類だった。

あんなことがあってナイーブなのに、声真似してくるとか性格悪すぎ。

ちょっと似てたのがまた腹立つ。



「ゆら、どんだけ麗のこと好きなん」

「……もう好きじゃないし」

「へぇ、あいつの本性見た?」

「……」



類は人の気も知らないで、颯爽と歩いてきて私と距離を縮める。

あれ、早足で歩いてたはずなのに、あっという間に追いつかれた。

脚の長さが全然違うってこと?

それはそれでムカついて仕方ない。