遠藤くんには敵わない

「類、私ね……意地でも福岡に残るから勉強教えて!」

「声がでかいったい……家族に全部聞こえるやん」



類の手を掴んで詰め寄ると、ため息混じりにそう言われた。

だけど手を払われたりはしなかった。



「私、類が好きだから福岡に残るんじゃないよ」

「……どういうこと?」

「福岡いいとこやん、やっと楽しくなってきたけん、もっと楽しみたいっちゃん」

「博多弁下手かよ」

「う、うるさいなあ。まだまだ勉強中なの」



博多弁でいかに福岡が好きかアピールしたのに、イントネーションが違ったらしくつっこまれた。