「なんで隠れんの?俺、変なこと言った?」

「初対面の男にいきなり可愛いね、なんて言われたら警戒するよ」

「ウチのゆらは単純で、すーぐ騙されるんでやめてください」

「単純って言うのやめてってば」



私の行動を理解してくれる仁奈さんと、単純っていいながら牽制する類。

仁奈さんの彼氏は2人に詰め寄られて焦った顔を見せるかと思いきや、どこか色っぽい表情で笑った。

それでいて、さっきとは違う笑みだった。



「俺の仁奈ちゃんは警戒心強いけどね」



お、俺の仁奈ちゃん!?

弟の前でここぞとばかりに彼氏アピール!?



「おっとー?聞き捨てならんっちゃけど、まだねーちゃんは陸さんのものじゃないし!」

「まだ、ね。いずれ俺の嫁になるんだからよくない?」



恥ずかしげもなく俺の嫁とか言い出すから、あの類があんぐり口を開けて、驚いて言い負かされてる。

仁奈さんは困惑してるけど、否定しないから結婚前提なのは本当みたい。

それにしてもこんなにストレートに宣言するなんて、大人ってすごい……。

ラブラブなところを見せつけられて、なぜか私が赤面してしまった。