全然ロマンチックじゃないのに、初めての経験だから時間差で赤面した。

今度は私が顔真っ赤になってるじゃん、まともに類のこと見られないし、どうしてくれんの。



「あ、もしかして初めて?」

「……う、うるさい」

「ごめん、ムードもへったくれもなかった。やり直させて」



ファーストキスと知ってからかわれると思ったのに、むしろもう一度キスをしてこようと近づく類。

待って、経験ないのにハードル高いって!



「やり直しとかしなくていい!」

「じゃあ、黙っとった仕返し」


逃げようとしたけど、壁際に追い詰められ逃げ場をなくした。

目をぎゅっとつぶって構えると、類の唇がそっと触れた。


「ゆら、可愛い」


仕返し、という割に優しいキスと、甘い言葉。

類に可愛いなんて言われたのは初めての経験でびっくりした。

そっと顔を上げると、類は微笑んで私を見つめている。

その顔がとても綺麗で、私はまた顔が赤くなるのを感じた。

この日、私は遠藤類の彼女になった。