遠藤くんには敵わない

「え、言わないの?」

「言わんし!聞いたことある?福岡に来てその単語。信じられんっちゃけど!」



あ、いつもの類が戻ってきた。

それはいいけど、そんな痛烈な批判しなくてよくない?

麗くん、絶対嘘でしょ。類が私のこと好きなわけない。



「そうなの?」



でも怒る気にはなれない。

落ち込んでた姿を見てたから、パワフルにつっこんできた類を見ると懐かしい気持ちが込み上げる。



「うん、けど福岡県民も分からんっちゃん。
なんで好いとーよが福岡を代表する方言になっとるのか」

「ふーん」

「好かんは言うかな?あいつ好かんわ〜とか」

「好きじゃないってこと?」

「そそ、同系統の方言でいうと“しきらん”とか」



ああ、そうそうこの感じ。大したこと聞いてないのに話が展開していくのが類らしい。

さすが1聞けば10で返ってくる男。