麗くんは淡々と勉強を教えてくれた。

口が上手いだけあって教え方が上手。的確にアドバイスしてくれるから、これならなんとかなりそう。

安心してため息をついたら、その瞬間、麗くんの指が私の髪に触れた。



「……何?」

「ん?髪、邪魔そうだと思って。勝手に触ってごめん」

「あ……うん、結ぶね」



私の髪を指先ですくって耳にかけて、覗き込むように微笑む麗くん。

綺麗な笑顔に惑わされて赤面した。自然なスキンシップだけど、わざとっぽい気がしてなんとなく違和感。

だってこれまでそんなことは……いや、前科あったわ。

水族館でデートした時手を繋いできたっけ。

私のリアクションがおもしろいとか言って。

けど、今のはリアクションを見てるんじゃない。

言葉にするのは難しいけど、好意でもない。

だめだ、やっぱり麗くんのことは分からない。