「あれ、どうしたと?」

「ゆらちゃんに勉強教えて欲しいって言われた」

「麗、俺が教えるけんいいって、ゆらに勉強教えるのは手を焼くやろ。
生徒会長なんやけん忙しいし」



私のことなんてさほど関心はないはずなのに、目の色を変えて行く手を塞いできた。

なんか最近、類も麗くんも私のことになると張り合うようになった気が。

いや、それは勘違いだろうけど、最近二人の仲がギスギスしてるのは確か。



「ゆらちゃんが、俺に教えて欲しいって言うけん俺が教える。類、どいて」



一語一句、言い聞かせるように言葉を発する麗くん。

類は唇をぎゅっと結んで麗くんを見つめる。

その瞬間、麗くんの口元がうっすら弧を描いた。

……なんで笑ったの?

思えば最近の麗くんには疑問ばかり。

この機会に、違和感の正体を突き止めよう。

そう思って麗くんの後に着いていき、お部屋にお邪魔した。

部屋に入る直前、振り返ると、類は私を不安そうな顔で見つめていた。