「なんなん、あいつ。ゆら、本気にしたらいけんよ」

「分かってるよ、ほんとの笑顔じゃないもん」

「ほんとの笑顔？」

「麗くん、作り笑いの時はああいう優しそうな笑顔をするから」



類は忠告してきたけど、私だって本気にはしてない。

騙されたからこそ分かる、あの笑顔は偽物だ。



「なんだ、よかった」



類は私がちゃんと見極めていると知ってほっとしていた。

安心するなんて変なの、類にとって私はただの隣人のはずなのに。

だってタイプじゃないって面と向かって言われたし。