「類、それ振ってから渡したりとかしてないよね?」

「しとらんって、普通の炭酸」

「それならいいけど。いくらゆらちゃんが可愛いからって、女の子いじめちゃだめやけんね」

「はいはーい」



うわぁ、いかにも類がしそうなしょうもないイタズラ。

してないと言えど不安な私。試しにペットボトルを恐る恐る開けたら、あふれたりはしてこなかった。

類は「なんで警戒しとーと?してないって言ったやん」とケラケラ笑う。

それから3人は家の中に入って行ったから、私も自分の家に戻った。


それにしても、お姉ちゃんで良かった。

てっきり彼女だと思ってたから、お姉ちゃんだって知って安心してる自分がいた。

好きでもないのにほっとするなんて変なの。

そんなことを思いながら類からもらった炭酸飲料を口にする。

飲み込んだ弾けるレモンの風味。それはひと足早い夏の味がした。