遠藤くんには敵わない

「ねーちゃん、おかえりー!」



ガチャ、と音がしたかと思うと、類が玄関を開けて外に出てきた。

頭がぼさぼさで寝癖がついている。

類、絶対寝てたでしょ。



「福岡着いたなら言ってよ、迎えに行ったのに」



お姉さんに近づいた類は、私がいることに気がついて顔を合わせる。



「あ、ゆら。紹介するわ。仁奈ねーちゃん」



いや知ってるわ、自己紹介してもらったし。

そんなことよりこの兄弟、やっぱりムカつく。



「羨ましい!お姉さんまで美人ってなんなの!?」

「は?心の声ダダ漏れやん」



兄弟揃って美形な上に、優しそうで綺麗なお姉ちゃんがいるとかずるい。

類に訴えかけたら、ニナさんはその横で笑ってくれた。